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正確な英語を我がものに(2)     社会と産業コース 竹内 孝

2011/11/11 22:25 に 山口文夫 が投稿

聞くだけで英語が上達?
A:「海外旅行でパリに行ってきました。」
B:「それは良かったですね。ところで、フランス語で困りませんでしたか?」
A:「いいえ、ちっとも。ただ、フランスの人は困っていたようです。」

これは、米国のジョークですが、英語の学習については、私たちはこのようにおおらかにはなかなかなれませんので、いろいろな学習書が発行される仕儀になっております。
特に、「ダイエットと英会話の本は、永遠に売れ続ける。」といわれます。その理由は、「卒業する人がいないから」だそうです。英会話を耳から聞いて覚えるとなると、上達までには、膨大な時間がかかり、その割に応用がきかず、長続きしないからではないかと思われます。
とはいえ、最近では有名なプロ・ゴルファーが聞くだけの英会話教材で上達しているという広告が新聞に掲載されております。目的によっては、効果があるということでしょうか。
水泳の鈴木大地選手も、耳で聞いたとおりに云
ってみたら、これが大変良く通じたので、嬉しくなったというお話をされておりました。同選手の偉いところは、それだけですますことなく、どうしてこのような発音になるのかをよく勉強して、その理由を理解したということです。
  英語の先生からは、基礎をしっかりしないと、いつまでもブロークン・イングリシュが直らない、発展性がない、最低限の文法、発音、読む力、書く力は必須であるなどのアドバイスが聞かれます。
英語の基礎を固めるのに有効な方法として登場するのが、英文法の学習です。これは、英語が母国語である人たちにも当てはまることのようです。
雄弁家、名文家として有名な米国のリンカーン大統領も、若い頃、下宿先の先生から、自分の云ったことが信頼されるためには、もっと英文法を学ぶ必要があるとアドバイスを受け、英文法の本を借りて猛勉強したと云われます。

X’masは間違い?
厄介なのは、現実には、私たちが学校で教わった(と思っている)とおりにはなっていないと思われる表現があることであり、とまどってしまいます。
 例えば、クリスマスの季節になりますと、(省略形にはアポストロフィを付けるということから)、売り出し広告などに X’mas と書かれることがありますが、英語の辞書をひいても、X’mas とは書いてありません。学習辞典を見ると、「Xmas=《略式》クリスマスChristmas; アポストロフィ( ’ )をつけてX’masと書くのは誤り。」(「ライトハウス英和辞典」研究社)とか、「×アポストロフィ( ’ )をつけたX’mas は日本式のクリスマスの表記で、英語では不可。」(ピアソン・エデュケーション「ロングマン英和辞典」)などという説明があります。The Concise Oxford Dictionary を見ると informal term for Chrismas とあり、語源の説明では、X representing the initial Greek chi (=the twenty-second letter of the Greek alphabet(X, x) ) of the Greek Khristos ‘Christ’ と記載してあります。
また、himself の複数は、themselves であると習いますが、英語の辞書を見ますと、「someone, anyone, everyone などが主語の場合に himself or herself の代わりに、themselfが使われる。」とあります。(ピアソン・エデュケーション「ロングマン英和辞典」)
さらに、最近その逝去が惜しまれているアップル社のスティーブ・ジョブズさんが提唱された一大キャンペーン “Think different” のように、文法上は、”Think differently” とすべきところを、印象を強めるため敢えてこのようにすることがあります(最近ニューヨークで創刊された雑誌 “Real Simple” もこの類か?)ので、なかなか厄介なものです。
しかし、これらは際限なくあるわけではありませんので、英文法の有用性に変わりはないと思います。

今話題の英文法書
英文法ということになると、例えば、A. J. Thomson & A. V. Mertinetの ”A Practical English Grammar” (Oxford University Press) が有名で、日本でも江川泰一郎先生の翻訳(「実例英文法」オックスフォード大学出版局)が出版されております。
 
一方、最近人気がある文法書で、世界各国で利用されているのが、Raymond Murphy の一連の英文法書(Cambridge University Press)です:
Essential Grammar in Use (A self-study reference and practice book for elementary students of English)
English Grammar in Use (A self-study reference and practice book for intermediate students of English)
  
これらは独習書で、イギリス英語版、アメリカ英語
版、さらにCD-ROMの付いたものもあります。(日本語にも翻訳されております。)イラスト入りの豊富な問題をこなすうちに、英文法が自然に習得できるように構成されております。(このほか、R. Murphy著ではありませんが、上級編も出版されております。)
Essential Grammar in Useは、for elementary
students of English と銘打ってありますが、これには日常使用される文章が豊富に掲載されているので、英語のできる学生にも得るところが多いと云われております。
AERA ENGLISHが、平成23年2月号で特集を組んでおります。(「世界で1,500万部売れた最強英文法書 マーフィーで英文法をやり直せ」)(このバックナンバーは、茨城大学附属図書館に置いてあります。ただし、教職員以外への貸し出しは不可。)
 ただ、このシリーズでは、文法事項の説明がほと
んどありませんので、例えば、「総合英語FOREST」(桐原書店)(説明の丁寧さでは群を抜いていると云われます)で補うことも有益ではないかと思います。
 
また、長沢寿夫著「とことんわかりやすく解説した高校3年分の英語」(ペン出版)は、500頁を越える大作で、私はこれほど丁寧な解説書は今まで見たことがありません。これはまさしく英文法を含む英語の宝庫ともいうべき読本です。
  
 英文法が有用なのはわかるが、いまさら復習するのはいかにも億劫だと感じられる向きには、越前敏弥著「日本人なら必ず誤訳する英文」(ディスカヴァー・トウエンティワン)がおすすめです。これは、著者の超人気講座「誤訳をなくす文法特訓」を書籍化したものだそうです。ここに登場する英語を間違えなく読めるようになれば、英語の基本は盤石になるものと思います。また、これが英文法を復習するきっかけにもなると思います。
英文法の復習、基礎固めができれば、同書にある、例えば、次のような英文も間違いなく読むことができるようになるでしょう。
 “The best-known cricket players in that country from the early 1900s were Johnston, who had been often called successor to Thomas, and Farrell.”
(1900年代はじめ、その国のクリケット選手で最も有名なのは、しばしばトーマスの後継者と呼ばれているジョンストンとファレル(の二人)である。)
  

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