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草地学の研究50年(2):牧草の群れ方  塩見 正衛

2010/11/29 1:34 に 山口文夫 が投稿   [ 2010/12/26 23:59 に更新しました ]

牧草地の植物群は、海で見られる波のように美しいうねりを見せています。牧草は牛の餌ですが、ある所には食べられないで沢山の牧草が残っているし、少し離れた所ではすっかり食われて少なくなっています。決められた研究課題のほかにも自由なテーマで研究することができましたから、私は「このような牧草の波を美しい数式で表現してみたい」気持ちに駆られていました。

牧草地は何種類もの植物によって構成されています。その牧草地に方形の枠を置いて枠内の牧草を刈取り、重量(普通は乾燥重でバイオマスといいます)を測ります。100個もの枠を次々に刈取ります。方形枠の大きさは10cm×10cmのときもあるし、50cm×50cmのときもありました。この方形枠ごとのバイオマスの頻度分布が、ガンマ分布という式で表現できました。この式は多分18世紀に発見されたものです。牧草が成長したり、食われて減少するプロセスに確率要素を入れると同じガンマ分布になることが分かりました。言いかえると、牧草地内の牧草バイオマスはガンマ分布の式に従って平面的に分布しているとも言えます。ガンマ分布に含まれている2つの係数によって、牧草地の状態を表現し、診断できます。研究成果は1983年に論文として発表しました。

これは牧草地の植物群がもっている法則を明らかにした研究ですが、私の教え子たちの最近の研究によると、牧草地を構成しているシバやヒメヤブランなど個々の植物種のバイオマスの平面分布もガンマ分布で表わされることが分かってきました。

このような研究は、植物の生存競争や共存、牛の採食による損傷や再生過程の研究に結び付きます。

また、牧草を刈取らずに、簡便にバイオマスを測る方法を可能にしています。

2001年にニュージーランド、オークランドに所在する草地研究所を訪問したとき、一人の若い研究者からこの方法を使って研究していると告げられました。

セミナーを前にして緊張していた私は、この話ですっかりリラックスできました。

 
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