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囚人のゲーム                 塩見 正衛

2011/05/15 8:21 に 山口文夫 が投稿   [ 2011/05/15 8:41 に更新しました ]


長野学習センターで「ゲーム理論入門」(信州大学法学部 村上範明先生)受講しました。ゲーム理論は、主に経済・経営分野における勝負のつき方を科学する数学です。生物学の研究においても、種間競争の発達や進化がゲームと考えて取り入れられています。私には未知の分野だったので、かねてから入り口だけでも理解したいと思っていました。講義の中から有名なトピックスを一つだけ拾います。

2人が共犯で重大な犯罪を犯します。彼等は逮捕され、検察官から別々に取り調べを受けます。検察官は犯罪を立証できる十分な証拠をつかんでいなかったので、容疑者の自白に頼ろうとします。そこで、それぞれの容疑者に、「どうだ、自白しないか。お前が自白して捜査に協力したら罪を軽くしてやる。しかし、お前が自白しないのに、相棒が自白したらお前は重罪になるぞ!」と言いました。(実際、アメリカでは検察と容疑者の間でこような罰状についての取引がなされるそうです)

この状況は2人の容疑者間のゲームです。ここで、容疑者の反応(自白黙秘を続けるか)に表のような点数を与えます。-55年の懲役と思ってください。1コマの蘭で並んでいる数字の左の数字は容疑者1の点数、右の数字は容疑者2の点数になります。どちらの容疑者も「自白」か「黙秘」の選択ができます。2人とも黙秘を貫けば、証拠不十分で軽い罰状(容疑者1-3, 容疑者2-3)になります。しかし、相手が自白したのに一方は黙秘を貫くと、黙秘を貫いた方は重罰(-10)、自白した方は軽い罰(-1)になってしまいます。2人とも自白すると捜査協力者とはみなされないので、共にそこそこの罰を受けます(-5)。容疑者双方にとっての最良解は(容疑者1:黙秘, 容疑者2:黙秘) = (-3, -3)ですが、双方は「相手が自白して、自分を出し抜くのではないか」と疑心暗鬼。結局ゲームは双方にとって上の解より損な(自白, 自白) = (-5, -5)に落ち着きます。これが安定解です。

私たちも複数の相手と常に競い合い(ゲーム)をして暮らしているわけですから、裏切ったり裏切られたりしていて、いつも最良の解をとっているとは限りません。

 

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