人への衝突を激減緩和する「自動ブレーキ + 外部作動型エアバッグ」 システム

投稿日: 2015/01/22 7:24:58

これ以上暴走による犠牲者を出さないためにも !!

人への衝突を激減緩和する、センサフュージョン(複数センサ)による「自動ブレーキ + 外部作動型エアバッグ」 システムの早急な実用化を

茨城学習センター所長 白石昌武

近年発生した集団登校中の小学校の列に軽乗用車が暴走し多数の死傷者を出した事故、バスを待つ保護者を含む児童の列に軽ワゴン車が暴走して死傷者を出した事故、また脱法ハーブに起因する死傷事故等、加害者はこれからの日本を担う若者のみならず高齢者も含まれている。“居眠り運転をしていた”、“ボーとしていた”では済まされない問題である。このような形で人の命が奪われる交通事故には今更ながら憤りを禁じ得ない。と同時にこれから本格的な高齢者社会に直面するに当たり、運動能力、判断能力共に衰えつつある高齢者が加害者、被害者のいずれにもなり得る交通事故が益々増えることは明白である。これらの深刻かつ逼迫した状況を考えると、人を交通災害からアクテイブに守るための何らかの具体的対応法に早急に取り組む必要があることを痛感する。現在、前方の障害物に衝突する直前で自動的にブレーキが作動するシステムが実用化されている。しかし、

“雨天時や降雪時に自動ブレーキが作動し、車がスリップした場合どうなるだろうか?

前方の障害物が人であった場合、結果は明白である。残念ながら現在実用化されている自動ブレーキシステムでは対応不可能である“

事故の被害を軽減する「衝突安全」について、対人を重視したシステムを構築するにはソフトウエアとハードウエアの両面からの対応が必要である。筆者は以前茨城大学工学部に勤務していた当時、民間会社と共同で世界に先駆けて外部作動型エアバッグを開発した。車体の前、後バンパー及び両サイドドア内側にエアバッグを内蔵し(イメージ図1)、危険衝突と判断した瞬間に各エアバッグが車体の外側に作動する方式である。具体的には、CCDカメラ、レーザーレーダ、速度センサを装着し、時速20km以上(可変設定可能)でかつ前方の障害物との距離が2.5m以内(可変設定可能)に入った瞬間にコンピュータが危険衝突と判断し、ブレーキが作動すると同時にエアバッグが外側に開く方式である。

キーポイントは:

ソフトウエアとして、“どのような状況を危険衝突と判断するかの判断基準の設定”。

ハードウエアとして、“危険と判断された場合にエアバックが外側に作動、かつ瞬時のエアバッグ内空気放出”。

その効果として、“衝突時の人への衝撃吸収と緩和”である。そのコンセプトのフローチャートは以下の通りである。

これを具体的な上述の事故に対応させると、児童達への衝突直前にブレーキの自動作動及び前バンパーに内蔵されたエアバッグが外側に開き、衝突寸前で車が停止(これが理想的)。もしブレーキングで車がスリップし、エアバックが開いた状態で児童へ衝突した場合、衝突と同時にエアバック内の空気が瞬時に一部放出され、衝撃の吸収緩和が行われる。少なくとも死と言う最悪の状態がかなり回避される。

ワンボックスカーを使用し、実機による試験を行った。勿論解決すべき問題はあるが、それによると基本的には時速~60キロまでは対応可能となる。本システムが早急に実用化されることを願う次第である。

図1 外部作動型エアバッグ作動時イラスト

図2 外部作動型エアバッグ動作