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ダイナミカルシステムの制御 ―ロバスト制御を中心として―

2013/11/02 1:15 に 山口文夫 が投稿   [ 2013/11/02 1:19 に更新しました ]

                                                                                             茨城学習センター所長  白石昌武

 筆者が現在委員となっている超精密位置決め専門委員会では、ナノアクチュエータへの技術が今後益々要求されることは必致であり、その性能を最大限生かすためにはロバスト(強靭な、変動に強い)な制御法が欠かせない。アクチュエータの特性を周波数領域でより明確に把握し、外乱等に強いロバストなアクチュエータ制御法の構築が要求される。しかし制御の難しさは対象を正確にモデル化できないことにある。加えて制御系のパラメター変動(負荷、時定数、定数等)や外乱の影響等があるため、制御系設計の際にどこまで対応できるかが鍵となる。そのような困難さを克服するため、ロボットを含むメカトロニクスに代表されるようにSensor-based control、つまりセンシング情報を駆使した制御系の設計が一般的となっている。

 一方これとは別に、近年ではモデルの不確かさを補償し、制御の質を向上かつ維持するためにH∞ に代表されるロバスト制御法が中心となってきている。図は、筆者が以前精密工学会ロバストセンシングと制御委員会の委員長を仰せつかっていたおり、独断と偏見でロバスト制御法を分類したものである。殆どのダイナミカルシステムは非線形であり、そのまま非線形制御系として取り扱うことは勿論可能である。それとは別に何らかの形で線形化して取り扱うことも一般的に行われる。図のように、動作点近傍での線形化、非線形フィードバックによる線形化、そして構造解析による線形化などが代表的な方法である。線形化後は古典制御に代表されるPID制御、さらには高度な現代制御理論の適用が可能となる。近年では位置決め制御の分野において、PID制御の調整パラメータを適宜選択することで非常に良好な制御結果も得られている。

 ロバスト制御には受動的な方法と能動的な方法がある(と筆者は考える)。前者を弱いロバスト制御法(結果的にロバスト性が得られている)とするならば、後者は強いロバスト制御法と言えよう。表には記していないが、これらを複数組み合わせた方法もあるが、ここでは省略した。

 要は制御として何を重視するのか、精度か、即応性か、あるいは追従性か等により適宜制御法を選ぶことが重要である。何かの参考になれば幸いである。

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